賃貸経営をされている大家さんにとって、生活保護受給者に部屋を貸すことは、継続的な家賃収入の確保が期待できる反面、部屋にごみがためこまれてしまうなどのデメリットもあります。
ただ、いくら大家さんとはいえ、入居者の暮らしぶりまで常に把握することは不可能ですから、気づいたときには手も付けられない状態になっていた…なんていうことも十分にあり得ます。
この記事では、生活保護を受けている入居者が部屋にごみをためこんでしまったときの対処法を紹介しています。大家さんにできることは実際、あまりないのですが、いざというときのために読んでいただければと思います。
【長崎市】生活保護受給者に賃貸した部屋が大変な状態に
生活保護受給者のすべてに当てはまるわけではありませんが、多くの人たちは困窮しているだけではなく、病気などで自ら家事をすることが難しい状態です。困窮してしまった理由が病気などの体の不調であるとも言えるでしょう。
医療や介護サービスの費用も生活保護でまかなうことができますが、すべての受給者が介護サービスを受けているわけではありません。定期的に介護サービスのスタッフなどが訪問しているのであればよいのですが、そういったサービスを受けずにひとりで部屋に閉じこもりがちな受給者もいます。もちろん、これが即、汚部屋につながるわけではありませんが…
ただ、自ら家事をすることが難しい状態が長期間続けば当然、部屋は汚れていきます。定期的に誰かが部屋をたずねているのであれば、大変な状態になる前に対策をとることができますが、ひとりで閉じこもりがちだとそうはいきません。気づいたときには特殊清掃やリフォームが必要な状態になってしまうこともあります。
汚れた部屋の片付け費用は生活保護でカバーされる?
生活保護を受給している入居者が部屋にごみをためこんでしまった場合、その片付け費用は生活保護でカバーされるのでしょうか?
ここで生活保護ではどんな費用がカバーされるのか確認しておきましょう。
・生活扶助
食費や光熱費、衣類などにかかる費用です。
・住宅扶助
限度はありますが家賃が実費で支給されます。
・教育扶助
定められている基準内で支給されます。
・医療扶助
すべての費用は医療機関にダイレクトで支払われます。
・介護扶助
医療扶助同様にすべての費用はダイレクトに事業者に支払われます。
・その他
生業扶助や出産扶助、葬祭扶助などがあります。
こうして見ると、部屋の掃除に充当できそうな扶助はなさそうです。
一時扶助で部屋を片付けられるが…
部屋の片付け費用を生活保護でまかなうことは難しそうですが、方法がないわけではありません。条件的にかんたんではありませんが、入居者が「一時扶助」を申請すれば部屋の片付け費用をまかなえます。
その条件は以下のとおりです。
・部屋を退去(病院や施設に入居)
・今後、住宅扶助を受けない
一時扶助を申請する人は、今後は部屋を退去しなければならないうえ、住宅扶助も受けられなくなります。これは多くの生活保護受給者にとって受け入れることが難しい条件かもしれません。
ケースワーカーに連絡することから始めましょう
生活保護を受給している入居者が部屋にごみをためこんでしまった場合、大家さんと入居者だけで問題を解決することは困難です。まずはケースワーカーに連絡してみましょう。問題解決への道はそこから始まります。
ケースワーカーは、生活保護受給者など、支援が必要な個人を支え、自立へと導くサポートをする専門家です。支援が必要な人が抱えている問題を特定し、解決策や援助策を考えてくれます。
入居者が一時扶助を申請して部屋を片付ける場合でも、ケースワーカーのサポートが必要です。
【長崎市】生活保護受給者が孤独死してしまった場合
高齢化が進む日本社会の問題のひとつに、この孤独死があります。対策に苦慮されている大家さんもいらっしゃると思います。
もしも賃貸しているお部屋で生活保護を受給している入居者が孤独死してしまった場合、その部屋を片付ける費用は生活保護でまかなわれるのでしょうか?
残念ながら片付け費用は生活保護ではまかなわれません。入居者が故人となった時点で生活保護は打ち切られてしまうからです。
もちろん、財産があればそこから費用はまかなわれるはずですが、生活保護受給者の場合は難しいかもしれませんね。
まとめ
生活保護受給者が部屋にごみをためこんでしまった場合、ケースワーカーにサポートを依頼して問題解決を目指すことになります。大家さんと入居者だけでこの問題を解決することはできません。
入居者が一時扶助を受けるには、部屋を退去して病院や施設に移らなければならない…これは、言葉はよくありませんが、人生を終えようとしている人しか申請できないということです。大家さんにとって対処の難しい問題ですが、残念ながら大家さんにできることはほとんどないのが現状です。